札幌市中央卸売市場の沿革
年 表  大正12〜昭和39
 昭和40〜昭和59
 昭和60〜平成20
 平成21〜平成28


(1)札幌における市場のはじまり

ア 市営卸売市場の必要性     
 大正12年3月「中央卸売市場法」が制定されたことに伴い、本市においても市営卸売市場設置の必要性が市議会でとりあげられ、その調査委員会を設け、先進地の実情を調査検討して中央卸売市場の計画書を作成した。法令によれば最初、六大都市にのみ中央卸売市場を設置するとの規定であったが、後に、これが改正され、人口8万人以上の都市に適用されることとなった。これに伴い昭和5年本市も指定されたので、さらに調査研究がなされたが、その実現を見ないうちに太平洋戦争となり、実施計画はもとより調査研究も中断を余儀なくされた。
 しかし、終戦とともに再燃、混乱した経済機構の立て直しと本市産業の振興発展並びに市民生活の安定向上を図るため、その基本方策を確立する必要があった。 このため本市は、青果・水産業界の代表者をも含めた札幌市産業振興専門委員会を設けてその対策を諮問した結果、近い将来人口が50万人に達することを想定し、札幌地方各駅整備計画とあわせて中央卸売市場を設置することが望ましいとの答申がなされた。
 この答申をもとに中央卸売市場の規模設定の準備をしていたところ、たまたま桑園駅構内に放置されていた鉄道引込線用地を利用できることとなり、昭和24年5月に荷捌場を新設、生鮮食料品をここに集中し一時的にこの問題を解決することができた。
 その後、本市では業界の要望もあり、この場所を将来中央卸売市場に発展させる意図のもとに、さしあたり北海道条例に基づく魚菜卸売市場(青果物のみ)の施設を昭和25年10月に小規模ながら一応完成し開場した。しかしながら国鉄では、本市の急激な人口膨張により札幌駅を乗客専用駅にし、貨物の発着は一切桑園駅を使用することとしたため、昭和28年に至り同鉄道用地の返還を求められ、同市場は閉鎖のやむなきに至った。

イ 中央卸売市場設置の決定
 本市としては魚菜卸売市場が閉鎖されても、都市人口がすでに40万人に達すること、さらに北海道における政治、経済、交通及び文化の中心地として急激に膨張するすう勢にかんがみ、当然中央卸売市場を設置して生鮮食料品の円滑な流通を図る責務に立脚し「中央卸売市場設置の構想」を樹立すべく、この目標年次を昭和40年とし、人口90万人(本市人口60万人、周辺人口30万人)、年間取扱量水産物5万トン、青果物10万トンと想定し計画書の作成に着手した。

ウ 用地買収及び施設建設に着手
 昭和29年4月この構想がまとまり、当初全体計画額を344,188千円として農林省に対し当年度の起債及び国庫補助を申請、用地買収及び貨車ホームの建設に着手した。また、この施設完成目標を5ヵ年とし、昭和33年10月1日開場を目処に業者収容問題と並行して準備を進めた。
 なお、その後用地の追加取得、鋼材値上がりによる建設費の増加等により全体計画額を494,328千円に変更し、昭和33年4月には一応の施設の完成をみた。

エ 市場施設の完成及び開設の遅延
 市場開設は昭和33年10月1日を目処としていたため、昭和33年7月5日より8月31日までの58日間、これらの施設を「北海道大博覧会」桑園会場として使用し、終了後9月12日に中央卸売市場開設準備事務局が現地に移転し執務を開始した。また、10月10日に鉄道引込線も開通して市場施設は全て完成した。
 市場施設の建設と並行して業者収容計画を進めていたが、卸売人は単数との国の行政指導趣旨にそって業界の入場態勢の確立に努力した。
 しかし、青果14社(3市場を含む)、水産6社(2市場を含む)をそれぞれ単数に統合することは容易ではなく、市議会及び中央卸売市場開設審議会等の努力にもかかわらず統合問題は難航を極め約1年が経過した。

 

(2)中央卸売市場の開設

ア 開設認可及び業務開始
 この間、業者収容計画と併せて業務規程の制定、開設準備手続等を進め一切が終了した。
また、昭和34年11月には難航した青果物関係業者14社のうち12社の統合(2社は脱落)もようやくまとまり、12月5日に全国17番目の中央卸売市場として開設の認可を受け、12月10日に卸売人1社、仲買人26名により青果物部の業務を開始した。
 しかしながら、水産の場合は依然難航を極め、青果との同時開始は不可能となったが、昭和35年4月4日に卸売人2社(1社は単独入場、他の4社が1社に統合、1社は入場せず)、仲買人41名により業務を開始した。

イ 各種委員会の設置
 市場建設計画から開設まで及び開設後の市場運営等各種の難関に直面したが、これらは札幌市の行政面からみても大きな問題となり、また、生鮮食料品の需給調整という公的機関であるだけに市民も強い関心を寄せた。
 このため、これらの問題を時宜に応じて円滑に処理するため市長の諮問機関として、札幌市中央卸売市場建設期成会(昭和30年8月〜昭和31年5月)、札幌市中央卸売市場開設審議会(昭和31年12月〜昭和34年12月)、札幌市中央卸売市場運営委員会(昭和34年12月〜昭和47年3月)を設置して、市場の建設、開設準備及び市場運営の円滑化に大きな役割を果たしてきた。

 

(3)開設後の経過

ア 施設の整備
 市場開設後は、当時の高度経済成長による産業活動の活発化に伴い、人口の都市集中化が著しく進み始めた結果、市場取扱量は飛躍的な増大を示し、開場以来3年目の昭和36年には、当初の目標である水産5万トン、青果10万トンに対し、水産はほぼ目標に達し、青果については目標の2分の1となり、数年のうちに目標に達することが明らかになった。
 このため、市場施設の整備拡張、合理化及び長期対策を検討した結果、在来施設の効率的整備活用に努めることとし、立地条件からも既存市場の東側隣接地を取得拡張し、この位置に水産部門を全面的に移転して、在来の施設は青果部門がこれを使用することが最も適切であるとの結論に達し、目標年次昭和60年度、目標市域人口135万人、推定取扱量青果物201,700トン、水産物110,600トン、合計312,300トンに対応する施設整備拡張を行うこととした。
 この整備拡張計画は、昭和42年度から46年度の5ヵ年にわたり、用地取得及び水産施設の新築並びに青果施設の増改築等総額23億円の建設改良事業となり、これにより施設規模は在来の約2倍となった。
 しかし、水産物の取扱量は45年度ですでに目標の110,600トンに達したため施設の狭あい化が進み、これに対処するため、昭和48年度に水産本館を増築した。
 また、青果部門は、近年の都市化の進展に伴い激増する消費動向に対応した生鮮食料品等の取引の適正化と流通の円滑化を一層促進するため、昭和51年5月に青果部卸売業者の複数化を実現するとともに、増大する取扱量に対処するため、昭和51年度に青果本館を増築した。
 さらに水産部門において水産棟の卸売場及び仲卸売場から排出する汚水の水質を浄化することにより、水質汚濁防止等の環境保全に寄与するため、昭和51年度に全国に先がけて排水処理施設を建設した。
 なお、昭和53年度には、国鉄函館本線の高架化事業に関連して、市場鉄道引込線が撤去されたことに伴い、これの補償費で撤去跡地の舗装復旧を行うとともに、これに伴う青果棟シャッターのかさ上げ改良及び水産棟庇増築、構内照明新設等を施行した。また水産物部の一部小売団体組合事務所が狭あい化してきたため事務所を増築した。
 昭和54年度には、水産、青果棟外壁防水及び水産棟屋根防水改良並びに青果卸売場暖房増設等を施行するとともに、排気ガスによる大気汚染を防止するため、水産棟に換気装置を新設した。
 さらに、昭和58年度には、水産物部業者事務所が狭あい化してきたため、事務所を増築し、昭和60年度から61年度にかけては、青果部門の売場の有効活用を図るため、青果棟の増改築等を行い、仲卸店舗を4列配置から2列配置に変えるなど売場の再整備を行った。また、施設の老朽化が目立ち始めてきたため、61年度は、青果棟暖房設備の改良工事等を実施、昭和62年度には、水産棟土間改良工事や水産棟・青果棟のシャッター改良工事等を行い、平成元年度には、水産棟の仲卸売場の改良工事及び、駐車場の狭あい化に対応するため、JR在来線跡地を借り上げ、駐車場を拡張、平成2年度には、水産棟業者事務所の増築工事や買荷保管庫・共同配送セン夕ーを新築、平成3年度には、新たにスタートした国の第5次市場整備計画に合わせ、JR高架下を利用した青果定温倉庫を新築するとともに、将来の事業棟全面建替えに向けて、市場北側事業用地の取得を行った。
 平成4年度は、水産棟の卸売場を増築し、低温売場を新設したほか青果地場棟卸売場を低温売場に全面改修した。また、JR高架下部分に青果定温倉庫を新築するとともに、廃発泡スチ口ールの処理施設の新築、青果駐車場の排水設備及び舗装の改修、トラックヤードの舗装改修、青果及び水産棟卸売場の一部の防水改良、青果・水産両棟の便所の全面改修工事等を実施した。
 平成5年度は、風雪雨による影響を最小限に抑えるため、青果棟・水産棟間トラックヤードの上屋を新設し環境改善を図るとともに、狭あい化が問題となっている青果荷捌所を青果棟北側空地に新設した。また、排水施設及び舗装の改修についても、4年度の青果駐車場に続き水産駐車場で実施し、その他、青果棟・水産棟便所改良工事や青果棟・水産棟給水管等改良工事も実施した。
 また、市場冷蔵が老朽化し、この代替施設が必要となったため、平成6年度には市場隣接地に日本塩回送鰍ニ共同で水産保冷配送セン夕ーを建設した。
 これにより、商品管理の適正化・市場における配送サービスの向上・配送コストの軽減等、保管・流通機能の一層の充実が図られたところである。

イ 新設市場の開設計画と断念
 「札幌市長期総合計画」において、将来の人口増加による取扱増と既存市場の過密化に対応するため、新市場として東部市場の建設計画が打ち出された。
 本市はこれにより新設市場の立地場所の選定に入り、都市計画との整合性等から「札幌市大谷地流通業務団地」内に昭和47年度から49年度の3ヵ年にわたり、本市団地造成事業会計から総面積156,854uの用地取得を行った。
 しかし、この構想は、周辺供給地域における人口増勢の鈍化、消費需要の減退、景気の低迷による取扱量の伸び悩み等のため、概ね昭和70年頃を目処に計画を延期することとなった。
 さらに、市場を取り巻く環境の変化に的確に対応し、生鮮食料品の流通拠点としての市場機能の向上を図る必要があることから、平成元年9月に東部市場計画を含めた市場整備基本方針について、市場開設運営協議会に諮問し、専門部会を設けて検討がなされた結果、平成2年4月には、周辺地域の経済活動やうるおいのある環境整備を促進できる「現市場再開発方式」が最も適当であるとする答申を受け、東部市場計画は中止することとなった。

ウ 市場再整備計画
 東部市場計画が中止となったことに伴い、現市場での再整備を進めながら市場機能の近代化と高度化を図ることとし、21世紀に向けて飛躍する市場のあり方と早期全面改築を目標として青写真づくりを検討するため、平成4年8月、水産・青果の関係業界を中心とする建設検討委員会が設置され、協議を重ねた結果、平成5年11月に報告書として取りまとめられ、早期全面改築の要望書とともに市長へ提出された。
 その後、市場本体の再整備が農林水産省の第6次整備計画(平成8年3月)及び札幌市第3次5年計画へ正式に位置づけられたことから、本市と関係業界からなる「再整備推進委員会」を新たに設置し、平成9年6月には業界要望を踏まえた「再整備基本構想」を策定し、同構想をベースに平成11年8月には札幌市としての「再整備基本計画」を策定した他、立体駐車場の建設に着手し、平成12年8月に竣工した。平成13年3月には、農林水産省の第7次整備計画に継続して採択され、同年8月に新水産棟の建設に着手し、平成14年11月に1期工事を、平成15年12月に2期工事を竣工した。また、平成16年11月に新青果棟の建設に着手し、平成17年3月には、農林水産省の第8次整備計画に継続して採択された後、平成18年2月に竣工した。
 最終年次となる平成18年4月に管理センターの建設、6月にセンターヤードの建設、9月に廃棄物集積所の建設、10月に外構整備及び第2守衛室の建設に着手し、同年9月には管理センターが竣工し、平成19年2月には全ての工事が竣工したことにより、一連の市場施設の再整備が完了した。
なお、「再整備基本計画」に基づき実施した情報ネットワーク通信基盤システムの構築については、平成12年度にシステム構築を行い、平成13年4月には第一次システムを稼動させた。その後、稼動システムの運用管理と機能改善を行いながら、平成18年度まで継続して計画に沿ったシステム開発を実施した。

エ 卸売市場法の制定及び業務規程の主な改正
 大正12年3月に制定された「中央卸売市場法」では、近年における生鮮食料品等の流通体系の変化に対応し得なくなったため、新たに「卸売市場法」が昭和46年4月(法律第35号)に制定され、同年7月1日施行された。
 この卸売市場法の施行に伴い、本市中央卸売市場においては従来の中央卸売市場法に基づく業務規程が廃止され、新たに卸売市場法に基づく業務規程が昭和47年2月(条例第3号)に制定され、同年3月1日施行された。
 また、市長の諮問機関として昭和34年以来設置していた札幌市中央卸売市場運営委員会についても卸売市場法の制定に伴い発展的に解消され、新たに新法に基づく、札幌市中央卸売市場開設運営協議会を昭和47年4月に設置した。
 平成11年7月に市場関係事業者の経営体質の強化、公正かつ効率的な売買取引の確保等のため、卸売市場法の一部改正があり、同法に基づく業務規程についても卸売業者の財務の健全化及び取引方法改善等のため、一部改正し平成12年4月1日に施行された。また、売買取引の確保・設定に当たり必要な事項を調査審議させるため、札幌市中央卸売市場取引委員会を新たに設置した。
 平成16年6月、安全・安心に配慮した生鮮食料品の流通の確保、卸売業者・仲卸業者の事業に関する規制緩和等を目的として卸売市場法が一部改正された。これに基づき、業務規程についても、各売場における品質管理の方法を定め、流通の効率化を図るための電子商取引(インターネットを利用する取引)の導入をはじめとする取引の規制緩和等を内容とする一部改正が行われ、平成17年4月1日施行された。また、仲卸業者の財務基準を新たに設定するとともに、部類ごとに市場取引委員会に部会を設置する等の充実を図った。

オ 売買参加者制度の導入
 本市場における売買参加者制度については、開設以来、青果部の道内物売場に限り実施してきたが、昭和46年7月に卸売市場法が施行されたことに伴い、本市においても基本的には仲卸制度を堅持しつつ、可能な限り市場取引に参加する機会を拡大し、より開放的な市場運営を図るため、青果部は昭和50年2月より全面売買参加者制度を、また、水産物部にあっては同年3月より限定売買参加者制度をそれぞれ導入してきたが、昭和52年6月より水産物部においても全面売買参加者制度を採用した。


カ 青果部卸売業者の複数化
 本市中央卸売市場の卸売業者の数については、当初より青果部は1社、水産物部は2社で業務を行い、札幌市市域における生鮮食料品のうち、とりわけ青果物の供給については、中央卸売市場のほか、場外地方卸売市場及び問屋がその任に当たり円滑な流通に努めてきたところであるが、近年の急激な都市化の進展に伴って、より一層改善された流通体系の確立が肝要となってきた。
 以上のことから、本市は激増する消費動向に対応するため、流通の一元化を図りつつ有効的な競争効果を導入して、将来の青果物のより安定した供給と取引の効率化を促進するため昭和51年5月18日から青果部卸売業者に複数制を採用した。

キ 仲卸業者の経営改善
 平成11年度の「食品流通構造改善促進法」改正により、卸売市場における卸売業者及び仲卸業者等の経営規模の拡大及び経営管理の合理化等のための措置が規定されたことに伴い、本市では、平成12年度に「仲卸業者経営改善指導要領」を策定した。この要領においては、新たに仲卸業者の財務基準を規定するとともに、中小企業診断士等の専門家による経営診断の実施を定めた。
 平成13年度には、当市場水産物部が経営基盤強化モデル市場の指定を受け、札幌市水産物卸売協同組合を中心として、卸売業者と開設者を加えた「水産物部活性化検討委員会」を設置し、『拠点市場としてより活力ある市場をめざして』と題する行動計画書を取りまとめた。
 平成14年度には、この行動計画を実行に移すための「水産物部活性化実行委員会」を設置し、仲卸業者の経営基盤強化に取り組んだ。
 また、同年、青果部についても経営基盤強化モデル市場の指定を受け、『産地・消費地市場としての夏・冬を意識したメリハリのある市場機能の強化』と題する報告書を取りまとめた。
 平成17年度には、「業務規程」に仲卸業者の財務基準を規定することにより、仲卸業者に対しては、当該基準に基づき、必要な改善措置をとるべき旨を命ずることが可能となった。また、手続きを円滑に進めるため、「仲卸業者経営改善に関する取扱要領」を新たに定め、中小企業診断士による指導と併せて、仲卸業者の経営体質強化を進めている。
 なお、昭和63年度以降、水産物部・青果部ごとに、仲卸業者の社長等を対象とする研修会を毎年実施し、経営改善に関する動機付けを行っている。

ク 委託手数料の弾力化
 委託手数料(卸売会社が出荷者から販売を委託された際に、出荷者から受け取る手数料)は、昭和38年の閣議決定に基づく農林水産省通知により、野菜8.5%、果実7%、水産物5.5%を上限とすることが定められており、当市場においてもこの料率が適用されている。
 平成16年の卸売市場法改正による規制緩和の一環として、平成21年4月以降、委託手数料については、卸売市場ごとに業務規程において料率の決定方法等を定めることが義務付けられた。
 委託手数料の決定方法としては、@卸売業者が定める、A上限を設定したうえで卸売業者が定める、B開設者が定める、などの方法、また、卸売業者が定めることとした場合は、その内容について、@開設者に届出する、A開設者の承認を受ける、などの方法が考えられるが、いずれの場合においても卸売業者の経営に及ぼす影響が大きいことから、卸売業者の意向、他市場の動向等を踏まえながら慎重に検討を行う予定である。

ケ 中央拠点市場の指定と卸売市場としての経営戦略の確立
 平成22年10月に農林水産省が策定した第9次卸売市場整備基本方針(以下「第9次基本方針」という。)において、効率的な流通ネットワークを構築するため、取扱数量及び開設区域外への出荷割合に関する指標等に該当し、大型産地からの荷を大量に受け、周辺の中小規模の卸売市場と連携した流通を行う役割を担う中央卸売市場を「中央拠点市場」として指定することが新たに掲げられたが、平成23年3月、本市場は北海道内で唯一の「中央拠点市場」に指定された。
 これにより、本市場は、道内の地方卸売市場と連携を図りながら道内各地に生鮮食料品を供給する市場流通ネットワークの要としての役割を新たに求められることとなった。
 また、第9次基本方針では、中央卸売市場においては、開設者及び市場関係事業者が一体となって、卸売市場全体の経営戦略的な視点から経営展望を策定するなど卸売市場としての経営戦略の確立が求められた。
 このため、本市場では、平成23年8月に市場関係事業者が中心となって『札幌市中央卸売市場活性化ビジョン』を策定するとともに、同年12月には開設者(本市)が『札幌市中央卸売市場経営改革プラン』を策定し、この2つの計画を将来に向けた経営戦略の両輪として機能させることとした。
 『札幌市中央卸売市場活性化ビジョン』では、「北海道の拠点的市場」、「食の発信拠点」、「開かれた市場」という3つの基本理念、「販売力の強化」、「情報発信機能の強化」、「市場機能の強化」、「集客力の強化」という4つの視点とそれらにつながる16の基本目標、更には「環境対策」と「災害対策」という2つの緊急課題を設定しており、全体で149項目の取組事項が実施主体とともに掲げられている。
 また、『札幌市中央卸売市場経営改革プラン』では、「市場の活性化をめざして」、「経営の効率化をめざして」、「環境にやさしい市場をめざして」、「災害に強い市場をめざして」という4つの基本目標を設定しており、この基本目標に基づく具体的な取組策の実施により、市場の活性化、本市場事業会計の収支改善等を目指していくこととしている。

コ コンプライアンス推進に向けた取組み
 平成26年4月に卸売業者及び仲卸業者の不祥事が相次いで発覚し、開設者(本市)から市場に対する市民の信頼の回復に向けたコンプライアンスのなお一層の徹底を求められたことを受け、場内関係事業者は、同年5月に開催された札幌市中央卸売市場活性化ビジョン推進委員会において、同委員会の下にコンプライアンス推進会議を設置し、早急に本市場におけるコンプライアンスの推進に向けた取組項目等を定めることを決定した。
 コンプライアンス推進会議では、場内関係事業者及び開設者のほかに、外部から弁護士を招き、同年6月から7月にかけて集中的な議論が行われた。
 この結果、同年7月末には、「私たちは、公正・透明な取引を推進して、安全・安心な生鮮食料品の安定供給という社会的使命を全うし、信頼される市場を目指します。」というコンプライアンス理念、企業倫理の確立・公正な取引・透明性の確保という3項目のコンプライアンス基本方針及び内部統制、教育等に係る具体的な取組項目が策定され、市場内に周知徹底されるとともに、外部に向けて公表された。